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中小企業金融円滑化法③

 「中小企業金融円滑化法」の施行により、「金融検査マニュアル」が改定されました。

 すなわち、債務者が実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(通称、実抜計画といいま
す。)
を策定していない場合であっても、債務者が中小企業であって、かつ貸出条件の変更
を行った日から最長1年以内に当該経営再建計画を策定する見込みがあるときには、当該
債務者に対する貸出金は当該貸出条件の変更を行った日から最長1年間は貸出条件緩和
債権には該当しないものと判断して差し支えないとされました。

 
 簡単に言うと、金融機関は条件変更等を行った場合でも、条件変更を行った債務者が実
抜計画を1年以内に作成すると貸出条件緩和債権と見なさなくてもよい。つまり当該債権に
対して15%相当の金額の貸倒引当金を設定する必要がなくなり、従来通り0.3%~0.5%の
貸倒引当金の設定で済んでしまうということになりました。

 たとえば1億円の借入をした中小企業が貸付条件の変更を申し出てきた場合に、
  1年以内に実抜計画を作成した場合には貸倒引当金は300,000円から500,000円の設定
  で良い。

  1年以内に実抜計画を作成しない場合には貸倒引当金を15,000,000円設定することが必
  要となる。

 つまり金融機関にとっては、中小企業が貸出条件変更を言ってきた場合に実抜計画がある
のと無いのとでは、単年度の損益に14,500,000円前後の差が生じることとなり、この実抜計画
の有無で貸出条件変更への対応に明らかに差が生じることとなります。

 こういう改正がなされていますので、もしお客さんの中で現在の借入返済に無理が生じてい
るのならば、実抜計画を作成して、金融機関に貸出条件の変更を申し述べていくことが従来よ
りは容易にできることとなります。

 ただ、債務者が実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(通称、実抜計画といいます。)
作っても、これを貸出条件の変更を申し出るときだけに使っていたのでは、まるで債務者側の
いいとこ取りになってしまって金融機関の信用を失ってしまいかねません。金融機関に迷惑を
かけたのですから、後継続的に月次ベースで実抜計画と実績の比較検討を行い、実抜計画
達成状況をまめに報告していく必要があります。

 この月次での予算実績対比分析を実行していくには、年一決算の会社(決算時に1年間の会
計記帳をまとめて処理する会社)や経理を丸投げしている会社(会計事務所等に記帳代行を依
頼している会社)は困難なことであり、やはり自計化のできている会社(自らの会社で会計記帳
をしている会社)であることが、その後の信用を繋いでいく基礎的条件になるように思われます。

 私の事務所のお客さんは、ありがたいことにほぼ全て自計化が完了しておりますし、次年度の
予算作成とそれに基づいた予算実績対比分析まではできるようになっていますので、こんな非常
事態に直面しても抵抗力を発揮することができると考えております。

 もう金融機関とお付き合いをしていくにも、昔のように顔が利くとか、ネゴシエーション力に優れている
というだけではちょっとしんどくって、交渉の基礎資料を自らの経理業務で作り出して、しっかりと
した知識のもとでネゴシエーションしていくことが必要になてきたといえます。
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中小企業金融円滑化法②

 ではこの度の金融円滑化法は、金融機関に対して中小企業等から返済猶予等の申込み
があった場合に、一律の「応諾義務」があることを定めたものではありません。あくまで「努
力義務」を定めたものです。

 よって金融機関は条件変更等に応じるか否かについては、最終的には自主的な判断に委
ねられています。

 そのために、金融機関に返済猶予を申し込む際には、経営改善計画や返済計画をしっか
りと作成し、条件変更を受けた後も予算管理などの計数管理をしっかり行っていくことが肝心
です。

 以下は金融庁のパンフレットからの抜粋です(参考まで)。


                           ◆◆◆◆◆◆◆


 【金融機関からの借入れについて「貸付条件の変更等」を受けたい場合】

①まず利用している金融機関(複数行利用している場合はメインバンク)に相談に行く。

②金融機関と今後の経営改善計画、返済計画を検討した上で、実現に必要な貸付条件の変
 更等を行う。


                           ◆◆◆◆◆◆◆


 【金融機関に「貸付条件の変更等」を申し込んだが、応じてもらえなかった場合】

①他の取引金融機関等に相談してみる。

②政府関係金融機関や信用保証協会に対しては、従来から貸付条件の変更等に柔軟に対
 応するよう監督官庁が要請を行っています。セーフティネット貸付や緊急保証制度など新規融資
 につながる制度も使えるようになっている。


                           ◆◆◆◆◆◆◆ 


 【「貸付条件の変更等」を受けた場合は、今後の新規融資を断られるのか。】

①個別の融資は各金融機関が借り手の信用力を見て判断します。金融庁も、貸付条件の変
 更等の履歴があることのみを理由に新規融資を拒絶することのないよう金融機関に対する
 検査、監督で検証していくことになっている。

 と記載せれていますが、実際には中小企業側としては、この辺りが本当なのか気になるとこ
ろですよね。

中小企業金融円滑化法

経済情勢の悪化を受けて、中小企業者等のローン返済負担が急激に増加しており、返済条
件の変更を求める企業や事業者が急増しています。

 こうした状況を受けて平成21年2月より亀井大臣肝入りの「中小企業者等に対する金融の
円滑化を図るための臨時措置に関する法律(以下中小企業金融円滑化法と称します。)が
施工されました。

 その概要は
①金融機関は中小企業等の借り手の申し込みに対して、できる限り条件変更等を行うよう
 努める。

②金融機関は他の金融機関等と連携して、条件変更等を行うよう努める義務を負う。

というもので、現在のところ平成23年3月まで適用できるとされています。


                           ◆◆◆◆◆◆◆


 【この法律のポイント】

①金融機関に対して「努力義務」を課しています。

②金融機関が自ら「金融機関の責務を遂行するための体制整備」や「実施状況と体制整備
 状況等の開示」を行うことを要求されています。

③金融機関は「実施状況を当局へ報告」しなければいけなくなりました。

④さらなる支援措置として「信用保証制度の充実等」が掲げられています。


                           ◆◆◆◆◆◆◆


 この法律の施行を受けて各金融機関は、返済条件の変更等の申出を積極的にうけており、
法律の実効性は高く発揮されています。ただ、現場の金融機関の融資担当者の対応が前向
きではあるものの、金融機関によっては理解度に差があるように感じます。

 私のお客さんは基本的に債務者の側ですが、それぞれがこの「中小企業金融円滑化法」の
趣旨と内容をしっかりと理解し、場合によっては無理解な金融機関の融資担当者を説得する
くらいの勢いで、この制度を有効に活用する必要があると思います。

 以下シリーズでこの関連の話題を提供したいと思います。
プロフィール

野垣 浩

Author:野垣 浩
 
 大阪府池田市で公認会計士・税理士事務所 を経営。税務や会計の切り口から中小零細企業の良きビジネスドクターたらんと頑張っています。

 28歳までスキーの世界で飯を食べていましたが、それから一転して公認会計士を目指し、36歳で独立して公認会計士・税理士の事務所を経営するようになりました。この世界では変わり種です。

 さすがにもうアメリカンットボールの試合に出場(高校時代は大阪代表になっていました。)することは無くなりましたが、週末には長距離ランイングやロードレーサーで周囲を走り回り、ロードレーサーやトライアスロン、フルマラソンの大会に出場しては惨敗を繰り返している元気な53歳です。

 守秘義務の関係で業務上の詳細は書けませんが、日常業務の折々の雑感やプライベートの出来事を書いていこうと思っています。

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